地域の魅力をデジタル化し、全国そして世界へ

地域PRを考えるとき、多くの場合、まず思い浮かぶのは「きれいな動画を作る」「観光名所をSNSで紹介する」「パンフレットを整える」といった施策です。

もちろん、それらも大切です。
しかし、限られた予算で地域の魅力を届けるには、ただ素材を並べるだけではなかなか届きません。

必要なのは、地域にすでにある資源を、人が「見たくなる」「話したくなる」「参加したくなる」形へ編集することです。

このページでは、海外の地域PR事例を参考にしながら、地域資源をコンテンツ化し、地域IPや観光PR、採用広報、企業PRに活かすための考え方を整理します。

地域資源をコンテンツ化し、地域IPや地域PRへ展開するイメージ

このページで扱うテーマ

  • 地域資源をコンテンツ化するとは何か
  • 海外事例に見る、予算より大切な「切り口」
  • 地域IP・地域PRに展開するための企画設計
  • 制作物を作る前に整理すべきこと

地域資源は、見せ方で変わる

地域には、祭り、食文化、産業、歴史、人物、風景、方言、地元ならではの空気感など、外に伝えたい魅力が数多くあります。

ただし、それらをそのまま発信しても、若い世代や地域外の人には届きにくいことがあります。

「良いものがある」のに、どう見せればよいか分からない。
「発信したい」のに、何をコンテンツにすればよいか整理できていない。
「動画やSNSをやった方がいい」と言われても、そもそも何を伝えるべきか決まっていない。

地域資源をコンテンツ化するとは、地域の魅力を、マンガ、キャラクター、Web、SNS、動画企画、イベント、英語版ページなどに展開しやすい形へ整理することです。

つまり、地域資源をただ紹介するのではなく、受け手にとって「見てみたい」「行ってみたい」「誰かに話したい」と思える入口を作ること。そこに、地域IPや地域PRの企画設計が関わってきます。

弱点を体験型コンテンツへ変えた「Sheep View 360」

北大西洋に浮かぶフェロー諸島は、美しい自然に恵まれた地域です。
しかし、かつてはGoogle Street Viewに十分掲載されていないという課題がありました。

そこで現地の人々は、その状況をただ嘆くのではなく、羊の背中に360度カメラを取り付け、島の風景を撮影する「Sheep View 360」というプロジェクトを展開しました。

フェロー諸島のSheep View 360を参考にした地域資源コンテンツ化のイメージ

この事例が面白いのは、「Google Street Viewに載っていない」という弱点を、そのままコンテンツに変えてしまったことです。

フェロー諸島には、雄大な自然がある。
羊がいる。
Google Street Viewにはまだ十分載っていない。

普通なら、それぞれ別々の要素です。
しかし、それらを組み合わせることで、

Googleが撮ってくれないなら、羊に撮ってもらおう。

という、思わず人に話したくなる企画になりました。

これは単なる景観紹介ではありません。
地域の課題そのものを、体験型のコンテンツに変えた事例です。

大切なのは、羊が珍しいから成功したということではありません。地域にすでにあるものを、どう組み合わせ、どう物語にし、どうニュースにするか。そこに企画の力があります。

地域IPへのヒント:
地域の弱点や未整備な部分も、見せ方によっては「参加したくなる体験」や「話したくなる物語」になります。地域資源のコンテンツ化では、良いところだけでなく、課題や不便さも切り口になることがあります。

文脈を変えれば、見慣れた資源もコンテンツになる

フェロー諸島のように、実際に羊へカメラを付けるような大きな仕掛けでなくても、地域資源は「切り口」を変えることでコンテンツになります。

アイスランド「Icelandverse」

アイスランドの「Icelandverse」は、メタバースが世界的な話題になった直後、その文脈を逆手に取った観光プロモーションです。

アイスランドは、新しい観光資源を作ったわけではありません。
もともとあったのは、壮大な自然です。

しかし、それを単に「美しい自然があります」と紹介するのではなく、「仮想空間ではなく、現実にある没入体験」として見せました。

つまり、地域資源そのものを変えたのではなく、見せ方の文脈を変えたのです。

自然は同じでも、
「絶景です」と言うのか、
「リアルな没入体験です」と言うのかで、受け取られ方は変わります。

ここに、地域資源をコンテンツ化するうえでの大きなヒントがあります。

ノルウェー・オスロ「Is It Even a City?」

ノルウェー・オスロの観光キャンペーン「Is It Even a City?」も、見せ方の工夫が光る事例です。

このキャンペーンでは、オスロを大都市として華やかに見せるのではなく、住民が淡々と「歩いて移動できてしまう」「混んでいない」「美術館に並ばなくていい」といった特徴を語ります。

大都市と比べれば、
「小さい」
「派手ではない」
「混雑していない」
という特徴は、弱点に見えるかもしれません。

しかし、都市の混雑や過剰な観光に疲れた人にとっては、それこそが魅力になります。

オスロの事例は、地域の弱点に見えるものも、誰に向けて語るかによって価値に変わることを示しています。

地域コンテンツ化とは、地域の良いところだけを並べることではありません。
一見すると弱点に見えるものの意味を変え、特定の人に深く届く魅力として編集することでもあります。

切り口を考えるときの問い

  • この地域にしかない一次情報は何か
  • 一見弱点に見えるが、見方を変えれば魅力になるものは何か
  • 誰に向けて語れば、その価値が伝わるのか
  • 思わず誰かに話したくなる一言は何か
  • 写真、動画、漫画、SNS、イベント、ゲームなど、どの形にすれば届きやすいのか

低予算化で削ってはいけないもの

一方で、予算を抑えることと、地域との接続を軽く扱うことは別です。

リトアニアの観光キャンペーン「Real is Beautiful」では、自国をPRする素材として、ノルウェーやフィンランドなど他国で撮影された写真が使われていたことが報じられ、批判を浴びました。

ここから学べることは明確です。

低予算であること自体は、問題ではありません。
豪華な映像がなくても、立派な特設サイトがなくても、地域の魅力は伝えられます。

しかし、その地域ではない写真を使う。
地域の人の実感とずれた言葉を使う。
どこにでも当てはまるような表現だけで済ませる。

そうした発信は、見た目が整っていても、地域のコンテンツにはなりにくいものです。

地域資源をコンテンツ化するうえで、削ってよいのは過剰な演出や豪華さです。
削ってはいけないのは、その土地との本物の接点です。

注意したいポイント:
地域資源のコンテンツ化では、「それっぽく見せる」ことよりも、「その地域の人が見ても納得できる」ことが重要です。外向けに伝わる表現でありながら、地元の実感と切れていないことが信頼につながります。

制作物の前に必要なのは、企画設計

フェロー諸島の「Sheep View 360」は、羊を使ったから面白いのではありません。
アイスランドの「Icelandverse」は、パロディ映像だから話題になったのではありません。
オスロの「Is It Even a City?」は、自虐的に語ったから成功したのではありません。

共通しているのは、地域にある資源や課題を、外の人に伝わる文脈へ変換していることです。

フェロー諸島では、羊と自然とGoogle Street View未掲載という課題が結びつきました。
アイスランドでは、自然とメタバースという時代の話題が結びつきました。
オスロでは、控えめな都市規模と、混雑しない快適さが結びつきました。

つまり、地域資源をコンテンツ化するには、いきなり制作物を作る前に、まず考えるべきことがあります。

制作前に整理したいこと

  • この地域にしかない一次情報は何か
  • 地域の人が大切にしているものは何か
  • 外の人や若い世代には、どこが入口になりそうか
  • 一見弱点に見えるものを、魅力として語り直せるか
  • 地域PR、観光、採用広報、企業PRのどこで活用するのか
  • マンガ、キャラクター、Web、SNS、動画、イベントなど、どの形が合うのか

この設計を飛ばして、いきなり動画やパンフレット、SNS投稿を作っても、地域固有の魅力が伝わらないまま終わってしまうことがあります。

制作物は、あくまで出口です。
その前に必要なのは、地域資源をどう見立て、どう編集し、どんな文脈で届けるかという企画設計です。

地域の魅力を、届くコンテンツへ変えるために

「うちの地域には、コンテンツになるようなものがない」
「限られた予算でも、きちんと届く企画にしたい」
「観光や移住、採用、企業PRに地域資源を活かしたい」

そう考える場合、まず必要なのは、制作を急ぐことではありません。

地域にある素材を棚卸しし、どの資源を、誰に、どんな切り口で届けるのかを整理することです。

地域IP共創スタジオは、単に言われたものを作るだけの制作会社ではありません。地域に眠っている素材を、外部の視点と編集力で見つけ出し、ターゲットに届く企画へと組み立てます。

そのうえで、必要に応じて、漫画、キャラクター、SNS、Web、イベント、デジタル企画、英語版ページなど、地域に合った形へ展開していきます。

大切なのは、「何を作るか」から始めないことです。
まずは、「何がその地域らしいコンテンツになるのか」を見つけること。
その問いから、一緒に整理することができます。

地域資源の棚卸しから企画設計、マンガ、キャラクター、Web、SNS、英語版ページへ展開する流れ

地域IPとして展開するために

地域資源のコンテンツ化は、単発の広告や一度きりの制作物で終わらせる必要はありません。

地域の祭り、食文化、産業、歴史、人物、風景などを、マンガやキャラクター、Webページ、SNS企画、イベント、英語版ページとして展開していくことで、繰り返し使える地域IPへ育てることができます。

祭りをマンガやキャラクターで伝える例として、 山鹿灯籠まつり編青森ねぶた祭り編も公開しています。 海外向けには、 Yamaga Lantern Festival MangaAomori Nebuta Festival Mangaも参考になります。

地域IPとは、単にキャラクターを作ることではありません。
地域にある魅力を、発信や企画に使い続けられるコンテンツ資産として整理することです。

そのためには、最初から大きな予算で作り込むよりも、小さく試し、反応を見ながら育てていく視点が大切です。

地域資源をコンテンツ化する主な形

  • 地域の祭りや文化を紹介するマンガ
  • 観光や採用広報に使えるキャラクター
  • 検索から見つかるWebページ
  • SNSで継続発信できる企画
  • イベントや展示で使えるストーリー設計
  • 海外向けに伝える英語版ページ
  • 地域の企業や学校と連携した共創コンテンツ

まとめ:地域資源は、見せ方で変わる

海外の事例を見ると、成功した地域PRは、必ずしも大きな予算に頼っているわけではありません。

フェロー諸島は、Google Street Viewに載っていないという課題を、羊と自然を使ってコンテンツに変えました。
アイスランドは、もともとある自然をメタバース時代の文脈に接続しました。
オスロは、控えめな都市の特徴を、自虐的で魅力的な語りに変えました。

一方で、リトアニアの事例が示すように、地域との本物の接点を削ってしまえば、どれだけ見た目を整えても信頼は失われます。

地域コンテンツ化で大切なのは、豪華さではありません。
その地域に本当にあるものを、どう見立て、どう編集し、どう届けるかです。

地域の魅力を、観光PR、移住促進、採用広報、企業PR、キャラクター活用などに展開したい方は、まずは地域資源の棚卸しと企画設計から始めてみませんか。

「うちの地域では、何がコンテンツになるのか」
その問いに向き合うところから、地域の魅力は新しい伝わり方を持ちはじめます。

地域資源のコンテンツ化について相談する

まだ何を作るか決まっていない段階でも大丈夫です。地域資源の棚卸し、企画設計、マンガ・キャラクター・Web・SNS・英語版ページへの展開まで、目的に合わせて一緒に整理します。

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